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やっちまったー、ああやっちまった~。
ついにサイトにコラボ部屋…ライハムぶち込んじゃったぜ(*´∀`*)テヘヘ<…。
みんなはまればいいと思うよ|ω・)チラ<可愛い顔してみても駄目。
あとあの、ミクではちらっと書き途中投下しちゃったんだけど、テツライとか言い出してこいつ馬鹿じゃねえのって今反省してます(でも後悔はない)<往復びんた。
まあこっちはキラル同士だし…取り敢えず日記の折り返しに放り込んでみますんで、え、何それ雪邑またやらかしたの?って思われた方はちらっと覗いてみてくださいwww
サイト動かせるものを書けよって話ですよね。あと着手してんのは………ライハム。<死ね!!!
つーかさ、ミクのスイプーコミュをいろいろ探していたのだが、テツミタコミュを発見して夜中に絶叫したよね。
いやいやいや逆だから!
って。←
その雄叫びを送り付けた約二名様…ごめんねwww<ちゃんと謝ってください。
えー?だって逆じゃね?カニバの申し子だよ、敵は。
奴ほどの鬼畜王子はいねえってマジで。
雪邑的にはキラルキャラ最強の鬼畜王子なんですけど。
リンでも勝てない。コノエさんの上行く腹黒さ。(※リンとコノエに謝れ雪邑)
哲雄さんはまた受けならいいとか言ってます。受けだって。受けだよ。
あ、ちょ、可哀想な人を見る目で見ちゃダメっ←
と言うわけで、余計に可愛そうな目で見られていることと思いますが、結局先日の絵茶ログ纏めるの面倒だったから適当に抜粋した3枚を日記絵にぶち込んだよwww
先日ね、お友達に森川受けいただいたんです。
ほくほくしたけど、受け取ったのが夕方で、早く聞きたいけど日中はCD聞いてる余裕なんざありゃしねえわけです。
なので一刻も早く聴けるようにとプレイヤーに落としておいてさ、晩飯のときににっこにこで聞き始めたわけですよ。
いやー、正直すまんかった。ホント降参。
目の前で親が飯食ってる中必死でにやにやするのをこらえながらとか無理だったよ!
寧ろ飯とか食ってらんねえ。そもそも雪邑さんは森川の声をイヤホンで聞くと背筋がぞわぞわしちゃう人だから…!
まず森川さんの第一声でびくってなった。←
その後は、ええ、黙ってイヤホンをそっと引き抜きましたよね。最初から結果はわかっていた気がする。チャレンジせずにはいられない、そんなお年頃なんです(殴打)<ただの馬鹿だと思います。
その後じっくり聞きましたが、森川受け…イイ…(*´∀`*)アフ
うちにある森川受け片っ端から引っ張り出したよ…(笑)
でもあっちこっちにBLCDが埋もれているうちなので、確かまだあった気が…己の持ち物を把握してません。
迷惑メールを処分していたら(またか)
登録後ガンダムで女性からコール!
って件名があって、思わず二度見したよね。
ガンダム!?何故ガンダム!?これに引っかかるのは27歳乙女座くらいじゃねえのか!?って。
そしたら
ランダムで
の読み間違いでした。
俺も引っかかってる。ガンダムじゃないのに27歳乙女座じゃない腐女子引っかかった。
疲れてんのかな。うん、疲れてんだよね。
そのすぐ下に「喜悦通信」ってまたあってぎょっとしたけど、それすら「悦楽通信」の読み間違いでした。
どんだけ間違えば気が済むのかと!済むのかとぉ!←
ううー。
ここん所ちょっとオフでストレスなことが続いててですな、胃が痛かったり口の周り吹き出物出たりしてるんですが、なんか背中に蕁麻疹出ちゃってケロイドみたいになってます;;
痒いー痒いー(;´Д`)アウアウ
ちょーどブラが当たるんで余計に痒いのです…orz
うーん、これどうにかならんかなイライラ
イライラの原因はスイプーキャラ描くの難しいからってのもあるんだがね!←
描けなさすぎて
拗ねてます(殴打)
折り込みチラシ入れ忘れてたwww←
キラル内だけど何かを超えたテツライは「イエステツライ!」からどぞ(*´∀`*)
学校から帰ってみると、庭に白い塊が転がっていた。
いつも餌をねだりにやってくる黒猫が、その白い塊にスンスンと鼻を寄せてやけに親しげに(そして無警戒に)身体を摺り寄せているのは、なんだか意外な光景だった。そう、少なくともそれを眺めやっている城沼哲雄にとっては。
哲雄は見かけによらず動物好きで、よく庭先で日向ぼっこに勤しんでいる猫を眺めているのが好きだった。
彼らは哲雄がどうであろうと、例えば周囲と少し異質な感じがするとか、高校生らしくないだとか、そういうことには無関心で、距離さえ守っていれば逃げて行くことも、畏怖することもない。
警戒するのはそれが哲雄だからではなく、動くものに対して悉く警戒しているだけである。
そう、何か相手との距離や隔たりを感じることがない。だからぼんやりとその小さな獣が動き回ったり、ぬくぬくと丸まって惰眠をむさぼる姿を眺めているのが好きだった。
人間相手だと、哲雄の視線は強すぎて、すぐに「何見てんのあいつ」ってことになる。
この黒猫が、哲雄の手から餌を食べるようになるのには、それほど時間はかからなかった。
人と違って直観力の鋭い動物は、哲雄がただ眺めやっているだけだということを理解している。危害を加える気がないということも。
けれど、「それほど」かからなかったというだけで、「それなり」に、時間は必要だったのだ。
あれほど無警戒に顔を突っ込んで、身体を摺り寄せて、前足でちょいちょいとつついて、なんて姿を哲雄の前に見せてくれるまでには、一応それなりの期間が(お互い慣れ合うための時間が)必要だったのだ。
しかしそれにしてもあの白いのはなんだろう、と、哲雄は僅かに首を傾げた。
人、に、見える。
やたらと肌の色が白かったが、別段それは人外を思わせるような不気味さではなく、言ってみれば日本人離れした、北欧をイメージさせる白であるが、どの道それも「人類」の持つ色だ。
艶やかな光を放つ長い髪も見事に曇りのない銀髪(白髪、と言うべきだろうか。とにかく色素が感じられない)だったが、珍しいと言うだけで異例ではないだろう。
にゃー。
黒猫が哲雄を見上げて小さく鳴いた。
この庭にしょっちゅうやってきて、哲雄によく懐いているのはこの黒猫だけだ。
恐らくここはあの猫のテリトリーなのだろう。よその野良猫が入り込んでくることがない代わりに、時折黒猫は傷を作って庭先で毛繕いしている。
快適な空間を守るために小さな身体で戦っているのだろうことはなんとなく哲雄にも理解できたが、時折どういうわけか他所の猫を連れてくることがある。
確かこの黒猫は雄だったはずだから、どこぞでナンパしてきた美人さんでも連れてきて、見せびらかしているつもりなのか、或いは「まあこいつにも飯やってくれや」といい男をアピールしているのか、理由はよくわからないが、そうして見知らぬ猫を連れてきて、今のように小さく鳴いて餌をねだる。
自分に、ではなく、その「見知らぬ猫」に。
「………煮干し、食うのか」
ぼそ、と哲雄は呟いた。
うつ伏せに倒れている白い塊は、ヒトのように見える。けれど、ふさふさの毛が生えた猫のような尾と、丸みを帯びた猫のような耳を持っていた。
煮干しを好んで食すかどうかは個人の嗜好の問題だから置くとして、仮にそれが好物なのだとしても、今は食べられまい。
生きてはいるらしい。浅い呼吸と、僅かな脆鳴が聞こえる。
けれど確実に意識はない。気絶しているのか眠っているのか(恐らく前者だろうが)、とにかくこちらのやり取りなど耳には入っていない。
時折白い耳がぴくりと揺れていたが、音に反応している風でもない。
じっと眺めやる。
妙な格好をしていて、おまけにあちこち細かく傷だらけで。
ひとつ、溜息をついて徐に庭に降り、転がっている白い塊を抱え上げると、滅多に家の中には入ってこない黒猫が足元をちょろちょろとついてくるのを視界の隅にとどめたまま、すぐ目の前にある自室へとそれを運び込んだ。
ざりざりと頬を舐め上げられ、自分に毛繕いなどする猫に思い至らないライは盛大に眉根を寄せて相手を押し退けようと腕を伸ばし、それが空を切る感触にゆっくりと隻眼を開いた。
しつこくしつこく毛繕いしていたはずなのに、誰もいない。
誰も見当たらないのに、頬の上を滑るざりざりとした舌の感触は続いている。
「…」
視線だけ下げると、黒い毛の塊が妙に心地良さそうな顔で赤い舌を覗かせてべろべろと白い頬を舐めているのが見えた。
「………猫…?」
どこかぼーっとしたように、けれど訝しむ様子で発した声に怯むこともなく、黒い塊はごすごすと額をライの顎先に擦りつけている。
もしもこれが”猫”だとすると、ライの世界には存在しないはずの動物だ。
ウサギか何かの亜種だろうか。全ての動物が発見されているわけではないから、耳の短いものも存在するかもしれない。
ゴロゴロと心地良さそうに喉を鳴らしているのが聞こえたが、完全にそれを無視して自分の上から適当に押し退けると、あちこちから酷い痛みを伝える身体も殊更知らんふりを決め込んで体を起こした。
「どこだ、ここは…」
ずきずきと痛むこめかみを押さえ、何やら奇妙な服を着せられていることに眉根を寄せる。
見れば擦り傷と切り傷だらけだった腕なども、白く清潔そうな布が几帳面に巻かれ、嗅ぎ慣れない匂いがあたりを満たしている。
手首に巻かれたそれに鼻を寄せると、何とも言えない不快な臭いが漂ってきた。
知らない種類の薬草だろうか。少なくとも毒ではない、はずだ。(そうであったなら身動き取れなくなっていることだろう)
苛々とした気持であたりを見渡し、やはりそこが見慣れないものばかりで構成されていることに眉間の皺を深くする。
自分が寝ていたのはベッドで間違っていないだろう。けれど、ライの知っているそれとは材質が違っているように思える。
寝心地もまるで違っていた。
斜め前に見えるのは多分机なのだろう。けれどそれも、ライが見てきたものとは形が随分違う。
上半身を起き上がらせた状態でぼんやり周囲を見渡していたら、膝の上に投げ出していた手の上に、生暖かく湿った感触が触れた。
びくりと震え、そう言えばつい今し方押し退けた黒い塊があったことを思い出す。
予想に違わず、黒い生き物が膝の横に丸まって、ライの手を舐めていた。
「…傷の手当てでもしているつもりか?」
呆れたような声をかけるが、さすがに言葉が通じるはずもなく、黒い塊は何故かゴロゴロと喉を鳴らして心地良さそうに目を細める。
「それとも俺の手は美味いのか?」
時折かみかみと甘噛みされることを揶揄したが、当然それも通じずに、じゃれついて興奮し始めたのか、ライの手をしっかり捕まえたまま逆さまになってじたじたと暴れている。
リビカの祖であり、女神リビカが化身した姿だったと言われている”猫”は、絵でしか知らない。
まるでこのような生物ではあったが、これは子供なのだろうか。
絵からは大きさなど推測出来ない。
もしもウサギか何かの亜種であるのならこれで大人なのだろうが………行動があまりに幼すぎて、なかなか判断をつけるのは難しそうだった。
邪気のなさすぎる様に毒気を抜かれ、もう追いやるのも面倒になって適当に喉元を撫でてやる。
それが嬉しいのか、盛大に喉を鳴らしてくったりと脱力した。
珍しく目元から力を抜いてそのさまを眺めていたライの全身に緊張が走る。
殺気すら含んだそれに、さすがに黒い塊は毛を逆立てて飛びずさり、ベッドから飛び降りて部屋の隅へと逃げ去ってしまった。
あの生物を驚かせたいわけではなかったが、入り口に何かの気配を感じたのだから仕方がない。
大体、見知らぬこんな場所にいると言うことは、誰かが運び込んだからだろう。
捕える理由は思いつかないし、仮に何かの理由があって捕らえたのだとしても、拘束もなしにいつでも逃げ出せそうなこんな空間で、傷の手当てまでして放置する意味が分からない。
だが、だからと言って敵ではないという保証はどこにもなかった。ライには敵が多い。
きい、と少し軋んだ音を立てて扉が開く。
その向こうに現れたのは、やたらと図体のでかい、体格のいい無表情な雄だった。
思うさま眉根を寄せる。
それは、着ている服が妙だったからとかそういうことではなく(それもあるが)、その雄に耳も尾も生えていなかったからだ。
(こいつ…なんだ…?)
顔の横にあるアレは、悪魔の耳に似ている。けれど、悪魔から感じられる酷く威圧的で禍々しいものをまるで感じなかった。
だが猫でもない。耳や尾がないだけではなく、目の前の雄からは何か異質な空気が漂っていた。
今ここに自分の剣が二振りとも見つからないことに舌打ちしたい気持ちになった。
さすがに全身あちこち打ち身や切り傷でやられているこの状況で、あの体躯の相手と素手でやりあって勝てる自信はまるでない。
ならば逃げるか。と思ったところで、足をやられているのだという現状を思い出した。
そう、足さえやられていなければ、ここまでボロボロになるはずはなかった。
魔物と戦っていて、足をやられた。
執拗に追ってくる魔物から負傷した足でどうにか逃げ切り、けれど疲労のあまり見落としたのか、崖から足を踏み外して落ちたのだ。
途中から記憶がぶつりと途切れている。
試しに布団の中で足に力を入れてみるが、途端にずきんと鈍い痛みが脳天まで駆け抜け、もしかしたら折れているのかもしれないという絶望感とともに、こめかみに冷や汗が流れた。
薄い色の瞳に力を込めてろくに身動きの取れない身体を庇うように睨みつける。
入り口からじっとこちらを見下ろしている薄い茶色の双眸が、何を考えているのかまるで読めなかった。
何も構えていないようにも、全く隙がないようにも見える。
臨戦態勢を取っているようにも、何も考えず脱力しているようにも見える両極端な気配。
一体これは何なのか。
不意に近寄ってきた相手が、全く無遠慮に手を伸ばしてくる。
思わずそれを叩き落としたが、文句を言うでも、怒り出すでもなく薄い茶色の瞳はただこちらを見ていた。
「…っ!?」
手に感じた生暖かい感触に、大袈裟に飛び上がって驚いた。
いつの間に戻ってきたのか、あの黒い塊がぺったりとライに寄り添って、再びその手を舐めたのだ。
目を見開いたまま固まった。
何だ、この危機感のない生物は。
つい今し方自分から発せられた殺気に機敏に反応したのと、同じ生物とは思えない。
すると、にょ、と脇から手が伸び、そこから漂う僅かな生臭さに、黒い塊がパッと顔をあげてライの膝に乗った。
正しくは横から伸びてきた手が持っているものに顔を寄せた結果、ライを踏み台にしたのだが。
ちょい、と手を出し、それが逃げないことを確認してから、口に咥える。
あの干乾びた塊は食べるものなのか?と理解するより先に、黒い塊はそれをライの膝の上にちょこんと置いて、何かきらきらとした瞳で見上げてきた。
「………」
みゃあ。
小さく可愛らしい声は、ほんの少し非難を含んでいるように響く。
「俺に食えと言っているのか?ふざけるな。要らん」
言葉の通じない小さな獣と、何故会話をしなければならないのか。
この現状に苛立ちながら、取り敢えず言葉は通じるのじゃないかと予測される、先ほど部屋に入ってきた存在へ視線を転じる。
「ここはどこだ。俺の服は」
だが、相手は一応こちらを見て話を聞いてはいたのだろうが、何も言わずに背を向けてドアの方へと行ってしまう。
何なんだあいつは!と、余計に苛立ちが募った。
大体、着せられている服も動きが取れない。察するにサイズもあっていない。大きい。
黒い塊は自分が干乾びた何かを食べることにしたのか、ライの膝の上でがりがりと音を立ててそいつを貪り食うことに熱中しているし、もしかしたらさっきの相手も言葉そのものが通じていないのかもしれない。
「くそ…どこなんだここは…」
忙しなく耳を動かし、無自覚に尾を揺らす。
先ほどの雄はすぐに戻ってきて、今度はよくわからない茶色の塊をすぐ口元にずいと差し出してきた。
「…」
先ほどの黒い塊とはまったくもって可愛らしさ的なものが段違いだが、似たような真っ直ぐな目でこちらを見ている。まさかこいつも食いもの的なものを寄越そうとしているのか?
空腹自体をそれほど感じていない。
感じているのは全身を駆け巡っている痛みと、恐らくは負傷が原因の発熱が齎す、だるさと喉の渇きくらいだ。
いつも餌をねだりにやってくる黒猫が、その白い塊にスンスンと鼻を寄せてやけに親しげに(そして無警戒に)身体を摺り寄せているのは、なんだか意外な光景だった。そう、少なくともそれを眺めやっている城沼哲雄にとっては。
哲雄は見かけによらず動物好きで、よく庭先で日向ぼっこに勤しんでいる猫を眺めているのが好きだった。
彼らは哲雄がどうであろうと、例えば周囲と少し異質な感じがするとか、高校生らしくないだとか、そういうことには無関心で、距離さえ守っていれば逃げて行くことも、畏怖することもない。
警戒するのはそれが哲雄だからではなく、動くものに対して悉く警戒しているだけである。
そう、何か相手との距離や隔たりを感じることがない。だからぼんやりとその小さな獣が動き回ったり、ぬくぬくと丸まって惰眠をむさぼる姿を眺めているのが好きだった。
人間相手だと、哲雄の視線は強すぎて、すぐに「何見てんのあいつ」ってことになる。
この黒猫が、哲雄の手から餌を食べるようになるのには、それほど時間はかからなかった。
人と違って直観力の鋭い動物は、哲雄がただ眺めやっているだけだということを理解している。危害を加える気がないということも。
けれど、「それほど」かからなかったというだけで、「それなり」に、時間は必要だったのだ。
あれほど無警戒に顔を突っ込んで、身体を摺り寄せて、前足でちょいちょいとつついて、なんて姿を哲雄の前に見せてくれるまでには、一応それなりの期間が(お互い慣れ合うための時間が)必要だったのだ。
しかしそれにしてもあの白いのはなんだろう、と、哲雄は僅かに首を傾げた。
人、に、見える。
やたらと肌の色が白かったが、別段それは人外を思わせるような不気味さではなく、言ってみれば日本人離れした、北欧をイメージさせる白であるが、どの道それも「人類」の持つ色だ。
艶やかな光を放つ長い髪も見事に曇りのない銀髪(白髪、と言うべきだろうか。とにかく色素が感じられない)だったが、珍しいと言うだけで異例ではないだろう。
にゃー。
黒猫が哲雄を見上げて小さく鳴いた。
この庭にしょっちゅうやってきて、哲雄によく懐いているのはこの黒猫だけだ。
恐らくここはあの猫のテリトリーなのだろう。よその野良猫が入り込んでくることがない代わりに、時折黒猫は傷を作って庭先で毛繕いしている。
快適な空間を守るために小さな身体で戦っているのだろうことはなんとなく哲雄にも理解できたが、時折どういうわけか他所の猫を連れてくることがある。
確かこの黒猫は雄だったはずだから、どこぞでナンパしてきた美人さんでも連れてきて、見せびらかしているつもりなのか、或いは「まあこいつにも飯やってくれや」といい男をアピールしているのか、理由はよくわからないが、そうして見知らぬ猫を連れてきて、今のように小さく鳴いて餌をねだる。
自分に、ではなく、その「見知らぬ猫」に。
「………煮干し、食うのか」
ぼそ、と哲雄は呟いた。
うつ伏せに倒れている白い塊は、ヒトのように見える。けれど、ふさふさの毛が生えた猫のような尾と、丸みを帯びた猫のような耳を持っていた。
煮干しを好んで食すかどうかは個人の嗜好の問題だから置くとして、仮にそれが好物なのだとしても、今は食べられまい。
生きてはいるらしい。浅い呼吸と、僅かな脆鳴が聞こえる。
けれど確実に意識はない。気絶しているのか眠っているのか(恐らく前者だろうが)、とにかくこちらのやり取りなど耳には入っていない。
時折白い耳がぴくりと揺れていたが、音に反応している風でもない。
じっと眺めやる。
妙な格好をしていて、おまけにあちこち細かく傷だらけで。
ひとつ、溜息をついて徐に庭に降り、転がっている白い塊を抱え上げると、滅多に家の中には入ってこない黒猫が足元をちょろちょろとついてくるのを視界の隅にとどめたまま、すぐ目の前にある自室へとそれを運び込んだ。
ざりざりと頬を舐め上げられ、自分に毛繕いなどする猫に思い至らないライは盛大に眉根を寄せて相手を押し退けようと腕を伸ばし、それが空を切る感触にゆっくりと隻眼を開いた。
しつこくしつこく毛繕いしていたはずなのに、誰もいない。
誰も見当たらないのに、頬の上を滑るざりざりとした舌の感触は続いている。
「…」
視線だけ下げると、黒い毛の塊が妙に心地良さそうな顔で赤い舌を覗かせてべろべろと白い頬を舐めているのが見えた。
「………猫…?」
どこかぼーっとしたように、けれど訝しむ様子で発した声に怯むこともなく、黒い塊はごすごすと額をライの顎先に擦りつけている。
もしもこれが”猫”だとすると、ライの世界には存在しないはずの動物だ。
ウサギか何かの亜種だろうか。全ての動物が発見されているわけではないから、耳の短いものも存在するかもしれない。
ゴロゴロと心地良さそうに喉を鳴らしているのが聞こえたが、完全にそれを無視して自分の上から適当に押し退けると、あちこちから酷い痛みを伝える身体も殊更知らんふりを決め込んで体を起こした。
「どこだ、ここは…」
ずきずきと痛むこめかみを押さえ、何やら奇妙な服を着せられていることに眉根を寄せる。
見れば擦り傷と切り傷だらけだった腕なども、白く清潔そうな布が几帳面に巻かれ、嗅ぎ慣れない匂いがあたりを満たしている。
手首に巻かれたそれに鼻を寄せると、何とも言えない不快な臭いが漂ってきた。
知らない種類の薬草だろうか。少なくとも毒ではない、はずだ。(そうであったなら身動き取れなくなっていることだろう)
苛々とした気持であたりを見渡し、やはりそこが見慣れないものばかりで構成されていることに眉間の皺を深くする。
自分が寝ていたのはベッドで間違っていないだろう。けれど、ライの知っているそれとは材質が違っているように思える。
寝心地もまるで違っていた。
斜め前に見えるのは多分机なのだろう。けれどそれも、ライが見てきたものとは形が随分違う。
上半身を起き上がらせた状態でぼんやり周囲を見渡していたら、膝の上に投げ出していた手の上に、生暖かく湿った感触が触れた。
びくりと震え、そう言えばつい今し方押し退けた黒い塊があったことを思い出す。
予想に違わず、黒い生き物が膝の横に丸まって、ライの手を舐めていた。
「…傷の手当てでもしているつもりか?」
呆れたような声をかけるが、さすがに言葉が通じるはずもなく、黒い塊は何故かゴロゴロと喉を鳴らして心地良さそうに目を細める。
「それとも俺の手は美味いのか?」
時折かみかみと甘噛みされることを揶揄したが、当然それも通じずに、じゃれついて興奮し始めたのか、ライの手をしっかり捕まえたまま逆さまになってじたじたと暴れている。
リビカの祖であり、女神リビカが化身した姿だったと言われている”猫”は、絵でしか知らない。
まるでこのような生物ではあったが、これは子供なのだろうか。
絵からは大きさなど推測出来ない。
もしもウサギか何かの亜種であるのならこれで大人なのだろうが………行動があまりに幼すぎて、なかなか判断をつけるのは難しそうだった。
邪気のなさすぎる様に毒気を抜かれ、もう追いやるのも面倒になって適当に喉元を撫でてやる。
それが嬉しいのか、盛大に喉を鳴らしてくったりと脱力した。
珍しく目元から力を抜いてそのさまを眺めていたライの全身に緊張が走る。
殺気すら含んだそれに、さすがに黒い塊は毛を逆立てて飛びずさり、ベッドから飛び降りて部屋の隅へと逃げ去ってしまった。
あの生物を驚かせたいわけではなかったが、入り口に何かの気配を感じたのだから仕方がない。
大体、見知らぬこんな場所にいると言うことは、誰かが運び込んだからだろう。
捕える理由は思いつかないし、仮に何かの理由があって捕らえたのだとしても、拘束もなしにいつでも逃げ出せそうなこんな空間で、傷の手当てまでして放置する意味が分からない。
だが、だからと言って敵ではないという保証はどこにもなかった。ライには敵が多い。
きい、と少し軋んだ音を立てて扉が開く。
その向こうに現れたのは、やたらと図体のでかい、体格のいい無表情な雄だった。
思うさま眉根を寄せる。
それは、着ている服が妙だったからとかそういうことではなく(それもあるが)、その雄に耳も尾も生えていなかったからだ。
(こいつ…なんだ…?)
顔の横にあるアレは、悪魔の耳に似ている。けれど、悪魔から感じられる酷く威圧的で禍々しいものをまるで感じなかった。
だが猫でもない。耳や尾がないだけではなく、目の前の雄からは何か異質な空気が漂っていた。
今ここに自分の剣が二振りとも見つからないことに舌打ちしたい気持ちになった。
さすがに全身あちこち打ち身や切り傷でやられているこの状況で、あの体躯の相手と素手でやりあって勝てる自信はまるでない。
ならば逃げるか。と思ったところで、足をやられているのだという現状を思い出した。
そう、足さえやられていなければ、ここまでボロボロになるはずはなかった。
魔物と戦っていて、足をやられた。
執拗に追ってくる魔物から負傷した足でどうにか逃げ切り、けれど疲労のあまり見落としたのか、崖から足を踏み外して落ちたのだ。
途中から記憶がぶつりと途切れている。
試しに布団の中で足に力を入れてみるが、途端にずきんと鈍い痛みが脳天まで駆け抜け、もしかしたら折れているのかもしれないという絶望感とともに、こめかみに冷や汗が流れた。
薄い色の瞳に力を込めてろくに身動きの取れない身体を庇うように睨みつける。
入り口からじっとこちらを見下ろしている薄い茶色の双眸が、何を考えているのかまるで読めなかった。
何も構えていないようにも、全く隙がないようにも見える。
臨戦態勢を取っているようにも、何も考えず脱力しているようにも見える両極端な気配。
一体これは何なのか。
不意に近寄ってきた相手が、全く無遠慮に手を伸ばしてくる。
思わずそれを叩き落としたが、文句を言うでも、怒り出すでもなく薄い茶色の瞳はただこちらを見ていた。
「…っ!?」
手に感じた生暖かい感触に、大袈裟に飛び上がって驚いた。
いつの間に戻ってきたのか、あの黒い塊がぺったりとライに寄り添って、再びその手を舐めたのだ。
目を見開いたまま固まった。
何だ、この危機感のない生物は。
つい今し方自分から発せられた殺気に機敏に反応したのと、同じ生物とは思えない。
すると、にょ、と脇から手が伸び、そこから漂う僅かな生臭さに、黒い塊がパッと顔をあげてライの膝に乗った。
正しくは横から伸びてきた手が持っているものに顔を寄せた結果、ライを踏み台にしたのだが。
ちょい、と手を出し、それが逃げないことを確認してから、口に咥える。
あの干乾びた塊は食べるものなのか?と理解するより先に、黒い塊はそれをライの膝の上にちょこんと置いて、何かきらきらとした瞳で見上げてきた。
「………」
みゃあ。
小さく可愛らしい声は、ほんの少し非難を含んでいるように響く。
「俺に食えと言っているのか?ふざけるな。要らん」
言葉の通じない小さな獣と、何故会話をしなければならないのか。
この現状に苛立ちながら、取り敢えず言葉は通じるのじゃないかと予測される、先ほど部屋に入ってきた存在へ視線を転じる。
「ここはどこだ。俺の服は」
だが、相手は一応こちらを見て話を聞いてはいたのだろうが、何も言わずに背を向けてドアの方へと行ってしまう。
何なんだあいつは!と、余計に苛立ちが募った。
大体、着せられている服も動きが取れない。察するにサイズもあっていない。大きい。
黒い塊は自分が干乾びた何かを食べることにしたのか、ライの膝の上でがりがりと音を立ててそいつを貪り食うことに熱中しているし、もしかしたらさっきの相手も言葉そのものが通じていないのかもしれない。
「くそ…どこなんだここは…」
忙しなく耳を動かし、無自覚に尾を揺らす。
先ほどの雄はすぐに戻ってきて、今度はよくわからない茶色の塊をすぐ口元にずいと差し出してきた。
「…」
先ほどの黒い塊とはまったくもって可愛らしさ的なものが段違いだが、似たような真っ直ぐな目でこちらを見ている。まさかこいつも食いもの的なものを寄越そうとしているのか?
空腹自体をそれほど感じていない。
感じているのは全身を駆け巡っている痛みと、恐らくは負傷が原因の発熱が齎す、だるさと喉の渇きくらいだ。
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プロフィール
HN:
雪邑古都音
性別:
女性
職業:
マダヲ
趣味:
だらけること。サボること。怠惰で怠慢なこと(´ー`)
自己紹介:
爽やかに変態です。
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